秘密な私の愛しき人
顔を上げると優しい顔をした琉ちゃんがカップを差し出していた。


「飲む?」


そう言って紅茶をくれた。



「ぁ…ぁりがとぅ…」


私は小さい声でそれを受け取った。



「……穂樺」


ビクッ!


琉ちゃんに名前を呼ばれただけで反応してしまう。


琉ちゃんは私の目の前の床の上に座った。



「聞きたくないかもしれないけど俺はハッキリとさせておきたいんだ。だから…今から小実のことを話す」


私の手が震える。
本当は小実さんのことなんて知りたくない!
でも、琉ちゃんの奥さんとして聞かなくちゃいけない。


私は重い首でゆっくりと頷いた。



「まず最初に、俺と小実(コノミ)は昔付き合っていた」


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