秘密な私の愛しき人
心配そうな顔をした洸くんがいた。



洸くんが私の上に傘をさしてくれてた。



「こぅ…く…」



「なんで傘もささずに座ってんだよ?
……泣いてるのか?」



洸くんの問いに私はいっぱい、いっぱいで答えられない。


ただ伏せることしか出来なかった。



「お前、震えてんじゃん」


そう言って洸くんは私の手を握ってくれた。



「洸、くん…濡れちゃう…」


私は手を離そうとしたけど洸くんは離さない。



「構わない。穂樺…泣いていいよ」



その言葉を聞いて、洸くんの優しさと琉ちゃんのことをまた思い出して余計に涙が溢れた。



洸くんの傘の下で私は泣いた。


洸くんは私の側で、ただ…ただ黙って私の手を強く握っていてくれた。



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