Love Step
* * * * * *


夕食はカレーを作った。


もちろんワンピースを汚さないようにエプロンをして。


着替えて作ればいいのだが、一度脱いだらもう一度着る勇気が出なくなると思ったからだ。


もうすぐゆきちゃんが帰ってくると思うと落ち着かない。


リビングをうろうろと歩き回ってしまう。


昔から緊張すると歩き回る癖がある。


やっぱり着替えよう……ううん やっぱりだめ わたしは変わるんだから。ゆきちゃんが好きだから喜んで欲しい。急ぐことなくわたしのトラウマに付き合ってくれる。最近ではわたしの方がゆきちゃんに触れたいキスした言って思っているほどだ。



「ただいま」


玄関で雪哉の声がして立ったまま考え事をしていた杏梨はビクッとした。


いや、あ、帰ってきちゃった。


心の準備が整っていないままリビングに近づいてくるスリッパの音がした。


ドアが開く。


「お、お帰りなさい」


「杏梨……」


そう言ったまま固まったようにじっと見つめたままだ。


「お、おかしいかな……」


雪哉の反応に戸惑って思わず言っていた。


恥ずかしくて顔はもとより耳まで赤くなっているはず。


「おかしくない!よく似合ってるよ 驚いたな……」


一人で買いに行ったのだろうか?


「本当に?ゆずるさんが買ってきてくれたの♪」


よく似合っているよと言われて魔法の言葉のように緊張が解けた。


「姉貴が?」


「うん すっごくたくさん買って来てくれたの」


嬉しそうにニコッと笑う杏梨に雪哉は腕を伸ばし抱きしめた。




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