Love Step
翌日、杏梨が店に来ると新しくネイリストが入った事を知った。


お店の一画が改装中だった事は分かっていたが、特に気にしていなかった。


このお店でトータルビューティーサポートが出来るようにと、ゆきちゃんの経営方針が着々と進んでいる。


わたしはアルバイトだから新しいネイリストさんは紹介されなかったけれど、遠くから見た印象は大人で物静かな人だなって感じた。


ネイルかぁ……ちょっと気になるな~。


ほうきを持った自分の手の爪を見てみる。


伸びれば適当に切る位でマニキュアは生まれて一度もやったことがない。


きれいにしてもらったら少しは女らしく見えるかな……。


受付の横にある本棚を整理しているとガラス越しに見た事がある黄色のフォルクスワーゲンが入って来た。


あれって……ゆずるさんの車?


駐車スペースに可愛らしい車が停まり、胸元のレース使いがクラッシックな感じのクリーム色のサマースーツを着たゆずるが降りてきた。


「ゆずるさんだっ!」


杏梨は飛び跳ねるようにして表に出た。


「杏梨ちゃん!」


洋服を買ってマンションに持って行ったとき以来、杏梨に会っていなかったゆずるはすっかり女の子っぽくなった杏梨を眩しそうに目を細めた。


すっかり女の子らしくなったわね。

これも雪哉の力かしら?


明るい表情がいきいきと眩しい。


今までより更に可愛くなった杏梨を見てゆずるは雪哉も嫉妬してしまいそうなほどぎゅっと抱きしめた。




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