Love Step
告白
彩との待ち合わせの店に行く前に、雪哉は近くの有名洋菓子店へ立ち寄った。
相変わらず混んでいるな。
店員がてきぱきと注文を聞き対応している。
注文を終えて待っていると、店の奥から40才代と思われる男性が出てきた。
「雪哉、久しぶりだな?」
厨房と店の仕切りがガラス張りなので、雪哉を見つけてやってきたのだ。
「ご無沙汰しています 篠宮さん」
190センチを越える大きな身体で、繊細かつ芸術的なケーキを作る彼は5年前まで最高級ホテルのパティシエだった。
篠宮が作るケーキは甘さ控えめで男性たちにも人気がある。
甘いものが苦手な雪哉でも篠宮が作るケーキは食べられる。
杏梨もこの店のファンだ。
「杏梨ちゃんにお土産か?」
「……いえ、人にあげるんです」
そこへ店員が戻ってきて包装されたマカロンの箱が入った紙袋を差し出される。
「杏梨ちゃんにいつでも食べにおいでって言っとけよ?今夏休みだろ?」
「伝えておきます 今、うちでアルバイトをしているんです」
篠宮が驚いた顔になった。
「杏梨ちゃんがバイトっ?」
篠宮は杏梨が中学1年生の頃から知っている。
あの頃は明るく元気いっぱいの少女で、よくケーキを買いに来ていた。
それがぱったりと来なくなり、1年ほど前からやっと買いに来てくれる様になった。
前までは1人で買いに来ていたが、雪哉か母親と一緒でないと店に来ない。
長かった髪も切り、男の子のように短い髪になって。
何かあったのだろうと思うが、雪哉も話したがらない様子に篠宮は何も聞かないでいた。
人が変わったように大人しくなった彼女がアルバイトをしている。
それはすごく驚くべき事だ。
「今の杏梨を見たら篠宮さんビックリしますよ 近いうちに連れて来ます」
「あぁ 楽しみに待っているよ」
篠宮は顔をほころばせて雪哉を見送った。
愛車に戻りエンジンをかけると雪哉は深いため息を吐いた。
これから彩に会うと思うと気が重い。
らしくないな……。
フッと笑うと雪哉は車を出した。
相変わらず混んでいるな。
店員がてきぱきと注文を聞き対応している。
注文を終えて待っていると、店の奥から40才代と思われる男性が出てきた。
「雪哉、久しぶりだな?」
厨房と店の仕切りがガラス張りなので、雪哉を見つけてやってきたのだ。
「ご無沙汰しています 篠宮さん」
190センチを越える大きな身体で、繊細かつ芸術的なケーキを作る彼は5年前まで最高級ホテルのパティシエだった。
篠宮が作るケーキは甘さ控えめで男性たちにも人気がある。
甘いものが苦手な雪哉でも篠宮が作るケーキは食べられる。
杏梨もこの店のファンだ。
「杏梨ちゃんにお土産か?」
「……いえ、人にあげるんです」
そこへ店員が戻ってきて包装されたマカロンの箱が入った紙袋を差し出される。
「杏梨ちゃんにいつでも食べにおいでって言っとけよ?今夏休みだろ?」
「伝えておきます 今、うちでアルバイトをしているんです」
篠宮が驚いた顔になった。
「杏梨ちゃんがバイトっ?」
篠宮は杏梨が中学1年生の頃から知っている。
あの頃は明るく元気いっぱいの少女で、よくケーキを買いに来ていた。
それがぱったりと来なくなり、1年ほど前からやっと買いに来てくれる様になった。
前までは1人で買いに来ていたが、雪哉か母親と一緒でないと店に来ない。
長かった髪も切り、男の子のように短い髪になって。
何かあったのだろうと思うが、雪哉も話したがらない様子に篠宮は何も聞かないでいた。
人が変わったように大人しくなった彼女がアルバイトをしている。
それはすごく驚くべき事だ。
「今の杏梨を見たら篠宮さんビックリしますよ 近いうちに連れて来ます」
「あぁ 楽しみに待っているよ」
篠宮は顔をほころばせて雪哉を見送った。
愛車に戻りエンジンをかけると雪哉は深いため息を吐いた。
これから彩に会うと思うと気が重い。
らしくないな……。
フッと笑うと雪哉は車を出した。