Love Step
店員に案内されて行くと、彩は先に来ていた。


雪哉を見て嬉しそうな笑顔で立ち上がった。


「雪哉さんっ」


「待たせたかな?」


「いいえ、私も今来たところですから」


「そう 待たせていなくて良かったよ これ、ご馳走様でした」


持っていた重箱の紙袋と篠宮の店の紙袋を一緒に渡す。


「あ!フランカの紙袋……」


嬉しそうな様子に雪哉は微笑んだ。


「そんなに喜ぶほどたくさん入っていないよ?」


「そんな事ないです 雪哉さんからいただけるだけでうれしいし……」


言ってしまってからポッと頬を赤らませる。


「あ、あの お弁当 お口に合いましたか?」


「え、あぁ 美味しかったよ」


食べられなかった中身だが、嘘も方便だ。





< 197 / 613 >

この作品をシェア

pagetop