Love Step
しかもゆきちゃんは美容師を辞めて芸能人かモデルにならないかと誘われるほどの美形。


美容師としての腕前も神業と言われるくらいすごいんだけど、頭も良いからここ数年の間に都心に美容室3店舗の経営者になった。


そんな人たちの父親、春樹おじさんとママが結婚……。


数年前から付き合っていて両家の公認になってはいたけど、突然言われて驚いた。


「杏梨は反対なの?」


ママが私のあまりの驚きように悲しそうな顔になった。


「だって……まさか結婚するとは思わなかったんだもん」


春樹おじさんとママが結婚したらゆきちゃんは私のお義兄さんになっちゃう。


私は3年前にレイプ未遂事件の被害者になってからゆきちゃん以外の男性が苦手になってしまった。


ゆきちゃんはその時に助けてくれた人だから安心できる存在。


そして小さい頃から大好きな人……。



「どうしていきなり結婚の話をしたかと言うとね……」


貴美香は訳を話し始めた。


春樹おじさんが海外転勤になってしまったのだ。


海外転勤は最低5年の予定だから2人は籍を入れて行く事に決めた。




自分の部屋に戻った杏梨はベッドの端に座り重いため息を吐いた。


「ママと春樹おじさんが結婚するなんて……」


もちろんありえないとは思っていなかった。


2人は私達、子供の前でも堂々と仲むつまじかった。


「今日の夜に食事会かぁ……ゆきちゃんと会えるかな」


仕事が忙しいゆきちゃんとは小さい頃と違って滅多に会えなくなった。


ママが春樹おじさんと結婚するのは賛成。


じゃあ……何が心を重くしているのだろう……。


ゆきちゃんと家族になってもならなくても恋愛感情なんてゆきちゃんにはあるはずないのに……。




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