Love Step
* * * * * *



ガッシャーン!!!


「あっ!」


杏梨はその音で我に返った。


山盛りにカーラーが乗ったかごが床に落ち、色とりどり、数種類のたくさんのカーラーが床に散らばっていた。


杏梨が落としてしまったのだ。


大きな物音に遼平がすっ飛んできた。


「どうした?……って、落としちゃったのか」


床に散らばっているカーラーを見て納得。


「す、すみません!すぐに片付けますっ!」


床にしゃがみ込み、カーラーを拾っていく。


「いいよ いいよ こんなこともあるよ」


遼平も手伝おうと屈み込んだ時、スタッフが遼平を呼びに来た。


「すぐに行く」とスタッフに言い、


杏梨に「手伝えなくてごめんね」とすまなそうに言うと行ってしまった。



カーラーが二重に見える。


あれ……?目がおかしい……。


頭がふらふらし、胃が気持ち悪い。


そのせいで手が滑って、かごを落としてしまったのだ。



風邪でもひいちゃったのかな……。

冷房は苦手な方だから、体温調節がうまく出来なかったのかな……。


のろのろとした動作でカーラーを拾っていく。


ぼんやりしてしまう頭を大きく振る。


振ると目の前がぐらんと揺れて動けなくなる。


早く拾って……洗って……帰ろう。

帰ったらすぐ寝たい。



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