Love Step
ゆきちゃんにメールしなくちゃ……。


でも甘えてしまって良いのかな……。


そう思ったが約束だからと杏梨は雪哉にメールした。


返事はすぐに来た。


『着いたらメールするよ』とだけ。


メールやゆきちゃんの表情一つ一つにドキドキしてしまう。


もしかして男性恐怖症が治ってきたのかな。


ううん……そうじゃない この前だって得体の知れない冷や汗が出たし……。


こんなわたしがゆきちゃんを好きなんて滑稽すぎる。


傍にいるには妹でいなくちゃ。


杏梨は口元を引き締めた。



* * * * * *



杏梨は校門の外で男物の大きなブルーの傘をさして待っていた。



大きな傘で顔が隠れてしまっているせいで雪哉は杏梨をすぐに分からなかった。



車を停めて携帯を取り出しながら校門の方に目を移す。



杏梨も俯きぼんやりしていて雪哉の真紅のベンツが停まったのも気づかなかった。


~~~♪


ポケットに入っている携帯電話が鳴った。


ハッとしてポケットに手を入れる。


ポケットに手を入れる時、傘が傾いた。


雪哉の目に杏梨の顔が見えた。



俺の傘か……。


『ゆきちゃん』


電話に出た杏梨の声は小さかった。



「ぼんやりしているな?」


『えっ?』


慌てた声と共に杏梨がキョロキョロするのが見えた。


「着いたよ」


『あ……』


少し先に赤い車が停まっていた。




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