Love Step
「もしかして頬が赤いのは、姉貴に?」


彩の話をすると身体がこわばるので峻はそう見当をつけた。


杏梨は俯いたまま黙っている。


「黙っていても話は進まないわよ?」


奥から保冷材を包んだタオルを持ってきて杏梨の頬に当てがう。


熱を持った頬が冷たいタオルに冷やされ気持ちいい。


杏梨は途切れ途切れに話し始めた。




「名刺を持っていてなぜ覚えていないの?」


真緒が聞く。


「それは……わからないんです……」


しゅんと俯いてしまった杏梨に峻は慌てた。


「記者に会ったんでしょう?」


「それも……分からなくて……具合が悪かった日で、女の人と一緒にいる所をゆきちゃんが見たんです でもわたしは覚えていなくて……」


「ひどく具合が悪かったのね」


頼りなげな姿は女の真緒でさえ支えてあげたくなってしまう。


峻を見ると心配そうな顔つきで杏梨を見つめていた。



~~~♪~~~♪


峻の携帯電話が鳴った。


雪哉さんだ……。

どうして雪哉さんが?





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