Love Step
峻は雪哉の向こうに見える姉を見た。


彩はベッドに起き上がり雪哉のジャケットの裾を握っていた。


床には割れた花瓶が転がっている。


「姉貴、何しているんだよ!」


峻は割れた破片に気をつけながらベッドに近づいた。


「峻……雪哉さんを引きとめようとしたら花瓶が手に当たって……」


雪哉が片膝をついて破片を集め始めた。


「雪哉さんっ!そんなことしないでっ!」


「俺がやります」




結局、男2人が片付けるとあっという間に終わった。


「姉貴、どうしたんだよ?具合は?」


峻の顔を見た彩は、再び泣き出してしまった。


「もう……芸能界にいられない……」


「彩、大丈夫だよ 訂正記事を出せばいい」


峻の腰に抱きついて泣く彩に雪哉が慰める。


「そんな事をしたら峻に傷が付くわ!」


大きくかぶりを振る。


「姉貴、落ち着いて 俺は大丈夫だよ もともと俺のせいなんだから」


「だめよっ!」



訂正なんかしたら、計画が壊れてしまう。



「必要ならば杏梨に証明させる」


雪哉の言葉に峻はなぜかカチンと来た。





< 275 / 613 >

この作品をシェア

pagetop