Love Step
* * * * * *
杏梨を乗せた峻の車が雪哉のマンションのエントランスに停まった。
車に乗ってから会話らしい会話はまったくなかった。
ただ、杏梨は俯いていたからだ。
「……俺、これから病院へ行ってくるよ 雪哉さん、帰すから」
「峻くん……」
心が弱くなっているせいか、峻の言葉に先ほど泣き止んだ目が潤み始めた。
「なんて言って良いのか分からないんだ……まだ憶測の域だから」
「……うん 送ってくれてありがとう」
杏梨の姿がガラスの扉の奥に消えると峻は車を発進させた。
部屋に入るとバッグの中の携帯電話が鳴った。
雪哉の着信メロディーだ。
「ゆきちゃん」
『……やっぱり今日は帰れそうにないんだ』
「分かった……彩さん、大丈夫?」
一瞬、沈黙した。
「あぁ 心配いらないよ 明日の朝、帰るから」
申し訳なさそうな声が聞こえ、電話は切れた。
杏梨を乗せた峻の車が雪哉のマンションのエントランスに停まった。
車に乗ってから会話らしい会話はまったくなかった。
ただ、杏梨は俯いていたからだ。
「……俺、これから病院へ行ってくるよ 雪哉さん、帰すから」
「峻くん……」
心が弱くなっているせいか、峻の言葉に先ほど泣き止んだ目が潤み始めた。
「なんて言って良いのか分からないんだ……まだ憶測の域だから」
「……うん 送ってくれてありがとう」
杏梨の姿がガラスの扉の奥に消えると峻は車を発進させた。
部屋に入るとバッグの中の携帯電話が鳴った。
雪哉の着信メロディーだ。
「ゆきちゃん」
『……やっぱり今日は帰れそうにないんだ』
「分かった……彩さん、大丈夫?」
一瞬、沈黙した。
「あぁ 心配いらないよ 明日の朝、帰るから」
申し訳なさそうな声が聞こえ、電話は切れた。