Love Step
「ごめん すごく待たせた」


目をこすりながら杏梨は首を振った。


「ううん しっかり眠っちゃった」


「お詫びにどこかで食事をして帰ろう」


「ほんと?」


杏梨の顔が輝く。


「帰って作るのも面倒だろう?」


杏梨はニコニコしながら立ち上がった。




オフィスを出て受付の前を通ると、雪哉は女性に呼び止められた。


「雪哉」


「彩、セットに来たのかい?」


杏梨は雪哉を呼び止めた女性を見て目を真ん丸くした。



ゆきちゃん……売れっ子女優の三木 彩さんと知り合いなんだ。



「ええ、雪哉にやってもらえないのは残念だけど」


きれいな微笑を浮かべる彩は美しい。


「申し訳ないね 今日は用事があるんだ」


彩が雪哉の隣にいる杏梨に視線が移る。


「ええ、またお願いします」


彩は杏梨に微笑んでから雪哉に言った。


「三木様 ご用意が出来ました」


めぐみが側に来て用意が整った事を知らせた。



< 29 / 613 >

この作品をシェア

pagetop