Love Step
彩のいる病室の階にはマスコミはいないようだった。


廊下を歩いていると彩の芸能事務所の社長とマネージャーが見えた。


社長は渋い顔をして、半歩遅れて歩くマネージャーは浮かない顔をしている。


2人は峻に気づいていない。


峻は見つからないように給湯室へ入った。



あの顔じゃ、会ったら小言を言われそうだもんな。



社長とマネージャーが通り過ぎるのを待って病室へ向かった。


小さくノックをして中へ入ると、イスに座っていた雪哉と目があった。


雪哉は口元に人差し指を持って行った。



ペコッと頭を下げてベッドを見ると姉貴は眠っていた。



「たった今、眠った所なんだ」


峻に聞こえるくらいの声で言う。




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