Love Step
「遅刻しちゃう!」



リビングの杏梨は誰ともなく言うと、ソファーに置いてあったバッグを手にした。




「先に行ってるね!」



「杏梨!」



雪哉はすぐ近くに来ていて、杏梨の腕を掴んだ。




「まだ胃の調子が悪いんだろう?今日は休もう」




「何を言っているの?ゆきちゃん」




「めぐみに予約を調整してもらったから今日は休める」




困った表情の杏梨の手からバッグを取り上げるとソファーに放り投げた。




「ゆきちゃん!?」



「しっ、黙って」



雪哉は杏梨の手を引っ張り、寝室へ向かう。




「病院でほとんど眠れなかったんだ 付き合ってくれないか」




何を付き合うのか分からず、動かされるままベッドに座らされた。




「?」




ゆきちゃんが白のサマージャケットを脱ぐさまを杏梨はポカンとした顔で見ていた。




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