Love Step
* * * * * *



喉ばかりが渇いちゃう……。



杏梨は目に付いたコーヒーショップへ入った。



胃が痛くて食欲がないのに、暑さのせいか飲み物ばかり欲してしまう。



冷たい飲み物ばかりで、余計に食欲が出なくなるのだが。




トレーにアイスカフェオレを乗せて、開いている席に向かったその時、目の前に立っている峻を見て驚いた。



「あっ!」



驚いた瞬間、トレーが手からするっと滑り落ちた。



ガチャン!



「きゃっ!」



杏梨はすぐにしゃがみ込む。



トレーの上にはアイスカフェオレ一色。



幸いトレーが深かったので床は濡れずに済んだ。



「大丈夫か?」



峻も驚いた。



追いかけて見失った杏梨がふらりと立ち寄ったコーヒーショップにいたからだ。



杏梨の返事はない。



彼女はトレーを持ち上げようとしていた。



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