Love Step
* * * * * *



彩はイラつく気持ちと戦っていた。



峻と入れ違いにコーヒーを買いに行った雪哉さんが戻ってこない。



「雪哉さん、どこへ行ったの?」



そう呟いてからハッと顔を上げた。



「もしかして……峻との会話を聞かれてしまった……?」



彩の今度は心に不安が広がっていく。



看護師を呼び、雪哉に連絡を取ってもらうように頼む。



少しして戻ってきた看護師は、携帯電話の電源が切れていてつながらなかったと言った。



どうしたの?雪哉さん……。




* * * * * *


数時間前……


峻の彼女の梨沙から逃げるようにコーヒーショップを出た杏梨はとぼとぼと道を歩いていた。



田舎に帰っている香澄ちゃんには相談は出来ないし……。



杏梨は誰かに話を聞いてもらい気持ちでいっぱいだった。



その時、琴美を思い出した。



『私で良かったら相談にのるわよ』



そうだ、琴美さんならば客観的にアドバイスをしてくれるかも。


大人の女性だし。


杏梨は立ち止ると携帯電話をバッグから出した。



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