Love Step
峻の意味深な言葉に雪哉は背筋が冷たくなった。



『っ!絶対に杏梨に触れるな!触れたら殺す!』



それだけ言うと雪哉は電話を切り、乱暴に携帯電話を助手席に放り投げた。




一方的に電話を切られた峻は雪哉のあまりの怒りに呆気に取られた。


こわっ……。



「峻くん、ゆきちゃんはなんて言ったの?」



「30分位で来ると思うよ お前に触れるなって ちょー怖かったんだけど」



「あ……」



わたしが峻くんに身を任せると思ったんだ……。



「お前に触れたら殺すって、物騒な事を言ったりするんだ あの人」



品行方正で誰に対しても丁寧に接する王子のような雪哉さんからそんな言葉が聞けるとはな。



「すごく心配しているんだ ……だからさ、雪哉さんを信じてやれよ お前は苦しめたくないとか言って離れようとしているけど、そっちの方が雪哉さんを苦しめているんだぞ?」



峻くんの言葉でなんだか心が軽くなった感じだ。



「……いいのかな?もっとゆきちゃんに甘えても……」



「当たり前だろ?好きな女から甘えられて嬉しくない男なんていないよ」



「うん……」


やっと杏梨の顔に笑顔が浮かんだ。



「それにしてもなんでお前が俺と会っていると思ったんだろう」



「それは……」


杏梨が視線を反らし、口ごもる。



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