Love Step
眠っているといいなんて言われてももう眠れない……。


無理だよ。


ゆきちゃんの腕の中にいて心臓がバクバクしているんだもん。



「……ゆきちゃん、やっぱり降ろして……」



玄関に入ると言った。



今度はすんなり降ろしてもらえた。



ミュールを履いていたせいかもしれない。



ミュールを脱いでリビングへ行く。


先にリビングに入ったゆきちゃんをまっすぐ見られない。


恥ずかしい。


「え……っと……ゆきちゃん、先にシャワーを浴びてね」


言ってしまってからハッとなる。


意識しすぎてなんか変な事を言ってしまったような。



雪哉の顔を見た杏梨は、頬はもとより胸元まで真っ赤になった。



雪哉が意味ありげに笑っていたからだ。



「それは誘っているのかな?」



とっさに出た言葉だと雪哉は分かっていたが、からかわずには入られない。



「ち、違うよっ!」


慌てたように大きくかぶりを振る杏梨だ。



「はぁ~ そんなに強く否定されると自信がなくなるだろう?」


雪哉は悲しそうに笑うと、杏梨の頬に手を伸ばした。



手の甲で頬を撫で、滑るようにして顎に手を添えると上を向かせる。



「ゆきちゃん……」



言葉を塞ぐようにキスを落とす。



優しく啄ばむような口づけ、そして震える下唇を甘噛みされる。



「……んっ……」


杏梨の甘い声が喉の奥から漏れる。



ゆっくり進まなければと思うのにやはり暴走気味の雪哉だった。



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