Love Step

克服

「ゆきちゃん……わたし……して欲しいの……」



「杏梨?今、なんて?」



「抱いて……欲しい……」



杏梨の言葉に雪哉は面食らった顔になる。



「抱いて欲しい?抱きしめて欲しいの間違いじゃないのかい?」



「間違いじゃないよ……こんなわたしだけど……」



恥ずかしさはMAXで、とうとう杏梨は真っ赤になって俯いてしまった。



そんな杏梨を見て雪哉は小さなため息を吐いた。



「いいのかい?途中でやめられるほど出来た男じゃないよ?」



「泣き叫んでも……お願い……」



もう過去には囚われたくない。


あの事を忘れたい。


ゆきちゃんなら忘れさせてくれる。



「杏梨……」


杏梨の強い決心が分かった。


しかし、泣き叫んだらそのまま進む事なんてできないだろうに……。


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