Love Step
ゆきちゃんに抱きしめられている。



それだけでわたしの胸はいっぱいになった。



これから起ころうとする事もこの腕の中ならば安心できる。



顔を上げるとゆきちゃんの優しい眼差しとぶつかる。



その優しい眼差しは「いつでもやめられるよ?杏梨の嫌な事はしない」って言っているみたい。



でも大丈夫。吹っ切れた気がするの。



ゆきちゃんなら絶対に大丈夫。



杏梨は手を伸ばすと雪哉の唇にそっと触れた。



薄めの唇……男の人なのに見惚れてしまいそうなほどきれい。


指で輪郭をなぞっていくと、雪哉の唇に食まれた。


その途端、ビリッとした感覚が全身を走る。


視線を絡ませながらゆきちゃんの唇はわたしの指から手首の内側へと移動する。



「あっ!」



手首の内側と軽く吸われると思わず甘い声が漏れてしまう。



その甘い声に笑みを漏らしたゆきちゃんはわたしを抱き上げた。



ゆきちゃんは軽々とわたしをお姫様抱っこする。



身長は低いけれどそれなりに体重はあるわたし。



いつもすごいな~と思ってしまう。



身長は高いけれど、マッチョって感じではないから。



だけど、今見て分かった。



スリムに見えるけれど、しなやかな筋肉に包まれている身体。



着やせするタイプなんだね。



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