Love Step
雪哉 Side


小刻みに震える身体を抱きしめた。


心配なのは拒絶反応だ。


嫌悪感を抱かないように、運ばなくてはいけない。


大事に……そう、真綿に包むように杏梨を愛さなくては。


俺にそんな事が出来るのだろうか。


いや、出来る。


杏梨が嫌だと言えばすぐにやめられる。


泣き叫んでもして欲しいと言った杏梨だが、あれが本心とは思えない。


長い付き合いだから分かる。



杏梨が俺の唇に手を伸ばした。


可愛らしい笑みを浮かべて俺の唇をなぞっていく。


そんな笑みを見せられたらすぐにでも愛したくなるだろう?



俺は細い指を食んだ。


指を舐め軽く吸う。


そして指から手首の内側の柔らかい所を強く吸い上げた。


「あっ」


杏梨の口から甘い声が漏れた。


俺は笑みを浮かべると杏梨の身体を抱き上げた。



抱き上げると杏梨は一瞬身体を硬くしたものの、すぐに俺の首に手を回して頭を肩に持たせかけた。



良い調子だと思う。



こんな事を考えながら愛し合うのは初めての事だなと考えながら足で寝室のドアを開けた。



そして腕から手放すのが惜しいほどの愛しい子をベッドにゆっくり横たえた。




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