Love Step
今日は暑いがカラッと湿度のないお天気で、午後になると干していた洗濯物は気持ちよく乾いた。



洗濯物を取り込みながら柔軟剤の良い香りをいっぱい吸い込む。



「う~ん♪良い香り~」



洗濯物を胸に、はじける様な笑顔になる。



幸せいっぱいと言ったところだろう。



ベランダから部屋の中へ入った時、キッチンのカウンターに置かれた携帯電話が鳴った。



「誰だろう……?」



着信メロディーが雪哉のものでないから、首をかしげながら急いで近づいた。



「琴美さんだ……」


携帯電話を耳にあてた。



「もしもし?」



『杏梨ちゃん?突然にごめんなさいね?』



「いいえ、昨日はありがとうございました」



杏梨の明るい声に琴美は地団駄を踏みたくなった。



『なんか声が明るいわ 悩みが吹っ飛んだって感じね?』



声はあくまで優しく親しげだ。



「はいっ いろいろあったけれどもう大丈夫です」



『そう、それは良かったわ』



「今お仕事中じゃないんですか?」



『今日の午後は予約が入っていないからお休みを取ったの ずっと働きづめだったから』



「そうですよね 琴美さん、オープンしてからずっとお休みしていなかったし」



『それでね?友達とゆっくりショッピングをしたいと思ったんだけど、パリから帰ってきてまだ友達と連絡を取っていなくて……だから一緒に出かけてくれる友達がいないの 良かったら杏梨ちゃん、一緒に出かけてくれないかなっと思って』



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