Love Step
「琴美さ~ん♪」



琴美が携帯電話を閉じた時、杏梨が手を振りながら近づいてきた。



「すみません、お待たせしちゃいましたか?」



「いいえ、私も今来たところなの」



バッグの中にそっと携帯電話をしまいながら微笑む。



「どこへ行きましょうか お洋服を買いたいのよね?」



「はい♪ゆきちゃんと食事に行くのでおかしくない格好をしたいなって」



「あらあら、本当にうまく行ったのね」



「琴美さんのアドバイスのおかけです」





* * * * * *



「オーナーは大人の男性だから大人っぽくしてみる?」



シックなドレスが売っている店の前で、琴美が立ち止った。



「はい 今日行くレストラン、ドレスコードはないけれどおしゃれをしたい気分なんです」



少し顔を赤らめている所を見ると、雪哉の事を考えているのだろう。



「オーナーの為なのね?」



琴美に言われ、杏梨はこくっと頷いた。



「ゆきちゃんのまわりはきれいな女性ばかりだから……」



「じゃあ、大人の女性に変身させてあげるわ」



琴美は杏梨の手をひっぱり、店の中へ入った。


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