Ｌｏｖｅ　Ｓｔｅｐ
ドレスを試着してみると思ったより良かった。



前身ごろはカシュクール風で、ウェストの前で大きなリボンを結べば大人っぽさも少しは可愛らしくなる。



Ａラインで裾にレースがあしらわれているのも素敵だ。



でも、これだと……おおげさ？な感じ……かも。



「杏梨ちゃん、着た？どうかしら？」



フィッティングルームの向こうで琴美の声がした。



「あっ、はい！」


慌ててドアを開けて琴美の前に出た。


目の前に立つ杏梨の姿に琴美は驚いた。


大人すぎると思ったドレスは、思ったより杏梨に似合っていた。


子供っぽい顔立ちだと思っていたけれど、着る物によっては大人っぽくにも見えるのね。



「どうでしょうか……？」


自分を見て黙ってしまい、やっぱり似合っていないのかと考えた。



「似合っているわ、これにしなさいな」


オフホワイトのワンピースが気になった杏梨だが勧められて嫌とは言えない。



杏梨は着ているドレスを買った。



女性店員が今まで杏梨が着ていた服を紙袋に入れた。



それを受け取っている杏梨を琴美は少し離れて見ていた。



今の貴方には黒がぴったりよ。



これから杏梨に起こる事を考えて琴美の口元に笑みが広がった。



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