Love Step
「会えばわかると思います」



「そう、よほど印象に残る顔だったのね?」



「あの時の事はなんだかよく覚えているんです 目の下に大きなほくろがあって……」


杏梨の言葉を聞いて琴美は心の中でため息を吐いた。



あきらには店に近づかないように言っておかないと。


普段はほとんど焦る事のない雪哉だが、杏梨のことに関して最近はそうも行かなくなっていた。



病室の前に立つと、中から杏梨の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。



明るい、何の不安も無い笑い声だ。



その声を聞いて雪哉は肩を撫で下ろした。



しかし誰と話しているのだろうか……?



ドアを叩くとすぐに杏梨の返事が聞こえる。



雪哉はドアを開けて中へ入る。



と、目に入ったのはベッドの側に立っている女性。



その女性が振り返ると、雪哉の目と会いばつが悪そうな顔になった。



「黒田さん、具合が悪くて帰ったのでは?」



琴美を疑ってはいたが、雪哉は普段と同じように接した。



「はい、下で見てもらうついでに寄らせてもらったんです」



「琴美さん、具合が悪かったんですか?それなのにお見舞いに来てくださってありがとうございました」



杏梨はお礼を言った。



「ここへ来る前に予約を入れてきたからもうそろそろだと思うの それじゃ、杏梨ちゃん、オーナー失礼します」



突然、雪哉が現れて驚いたせいか琴美の顔色は悪くなっていた。



「あぁ  お大事に」



病室を出て行こうとする琴美に言う。


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