Ｌｏｖｅ　Ｓｔｅｐ
カメラマンがふと背後を見た。



「雪哉さん、モデルがしっかり出来ずにすみません」



雑誌社から派遣されているカメラマンは雪哉に謝る。



カメラマンは雑誌社からの手配のモデルだと思っているからだ。



「君の会社の段取りが甘いようだね」



カメラマンに雪哉は言うと杏梨に近づき「大丈夫か」と声をかける。



杏梨は返事が出来なかった。



やるからにはしっかりやるしかないのに……。



精神的には大丈夫とは言えなかった。



「会社の段取りが甘いとは何のことですか？」



何の事か分からずカメラマンは首を傾げた。



アシスタントの青年も雪哉を見る。



その時、雑誌担当の女性が「あっ！」と叫んだ。



「ちゃんと申し送りが出来ていないのではこちらは不愉快にならざるおえない」



雪哉はカメラマンの横に急いで駆け寄ってきた女性に言った。



「申し訳ありません！」



女性が深く頭を下げた。



そしてカメラマンに手配したモデルが髪を切るのを嫌がり変更になった事を告げた。



「ど……素人…………ば、ばかやろう！」



カメラマンの開いた口が塞がった時、女性編集者は怒鳴られた。



「素人ならそれなりに俺のやり方があるってもんなんだよ！」



女性編集者が怒鳴られ、それを見ていた杏梨はおろおろと困った。



「あ、あの、わたしが悪いんです　ちゃんと笑えないから　だから怒鳴らないで下さい……」



女性編集者が怒られて気の毒になった。



申し送りが出来ていなくても、笑えないのは自分のせいだ。



「少し休憩しようか　オフィスへ行こう」



雪哉は杏梨を立たせるといたわる仕草でオフィスへ向かった。



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