Love Step
オフィスを出て階段を降りた下には遼平が立っていた。



「杏梨ちゃん!大丈夫!?」



おろおろとした表情で気の毒になる。



「遼平さん、ごめんなさい」



「いや、俺のせいだよ あんな横柄なカメラマンだとおもっても見なかったし、段取りが悪すぎる」



片手を金髪に染めた頭にやる。



「わたし頑張ります」



途中で逃げられない。



「杏梨ちゃんならそう言ってくれると思っていたよ」



遼平がホッとした顔になる。



「……雪哉さんはなんて言ってる?」



雪哉がどう思っているのかも気になるらしい。



杏梨にモデルをさせる為に拝み倒した張本人なのだから失敗でもあれば咎められるのは確実だろう。



「食べ物の事を考えなさいって」



「へっ……?」



にっこり笑う杏梨に遼平があっけに取られる。



「大丈夫です ゆきちゃんはわたしがちゃんと笑えるように休ませてくれただけです さあ、行きましょう わたし、ちゃんと笑います」



自信はないが、うろたえている遼平を見てもっと頑張らなければと思ったのだ。



「ありがとう!杏梨ちゃん!」



抱きつきそうになった時、オフィスのドアが大きな音をたてた。



「遼平、杏梨はけが人だよ?」



雪哉が慌てる風もなく言う。



遼平は杏梨に抱きつく一歩手前で止まったのだった。



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