Love Step
「彩さんが引退……しゅ、峻くんに電話っ!」



携帯電話を手にして電話帳の峻の名前を探す。



嘘だよ……嘘っ、どうして引退なんかしちゃうの……!?



峻の番号を押そうとした時、指が止まる。



違う……事務所の社長さんとマネージャーさんが会見しているんだから本当なんだよ……。



「あの記事のせいだ……」



急に吐き気がこみ上げてきて手で口を押さえる。



口を押さえる手も震えている。



その時、携帯電話が鳴った。



着信文字は「峻」



峻くん……。



話したかった相手だが、向こうからかかってくると電話に出るのが怖い。



~~~~~~~~~♪



やっとのことで通話ボタンを押した。



「も、もしもし……?」



『わかる?俺、峻』



「うん あ、あの……」



『あー 電話切らないで』



峻の焦った声がした。



え?切るつもりはないのに……。



「切らないよ?」



『なんか切られそうだったから……あのさ、耳に入れておこうと思ってかけたんだ』



彩の女優引退を聞いたら動揺するに違いないと思い、かけたのだ。



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