Love Step
「ゆきちゃん!ずっとここに……?」



ゆっくり立ち上がった雪哉は眉根を寄せた杏梨に手を伸ばした。



「大事な子が泣いているんだ もっと側に居たかった」



抱きしめられて赤くなった目から再び涙が出そうになった。



「……ごめんなさい……」



ゆきちゃんに心配ばかりかけている。


昨日まで琴美さんの正体を話さなかったのはわたしの為だし。


すごく悩んでいてくれた事がわかる。



「ん」



優しい返事に心が温かくなる。



「もう……大丈夫だから」



顔を上げて雪哉を見る。



「ゆきちゃんを……結果的に拒絶しちゃったこと……ごめんなさい もう絶対にしないからっ」



きっと傷つけてしまったに違いない。



「俺は拒絶されたとは思っていないよ?杏梨には時間が必要だったんだ」



杏梨の顔を見る限りいつもの杏梨だ。



内心ホッと安堵している。



「ゆきちゃん、だいすき」



「大好きより愛している方が嬉しいな」



「そ、それはもちろん……だよ」



「じゃあ、言って?」



顔を覗き込まれて言葉につまる。



「ぁ……愛してる」



「よく出来ました」



子供のように頭を撫でられて話したかった事を思い出す。



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