Love Step
「ゆきちゃん、もう琴美さんに会わないからね 安心してね」



「分かってくれて良かった」



「……解雇されちゃうの?」



その時、雪哉はまだ杏梨が琴美の方に気持ちがあると感じた。



解雇されちゃうの?と解雇するの?では立場が琴美の方で聞いている。



バカが付くほどほど優しすぎるな 杏梨は……。



「いや、問題はあるけれど腕はいいんだ もう1人ネイリストを入れるから少し変わると思う それに解雇しないのは彼女の行動を把握するためだけだ」



「琴美さんはゆきちゃんが知っている事を知ってるの?」



「うすうす何かがおかしいとは思っていると思うよ バカな女性ではないからね」



「……そうなんだ……あっ!ゆきちゃん 遅刻しちゃう 朝ごはん食べよ?」



リビングに向かおうとする杏梨の手が掴まれる。



「酷い顔をしているよ 顔を洗ってきて?」



「あっ……う、うん!」



少しはにかんだ笑みを浮かべた杏梨は洗面所へ行った。



* * * * * *



雪哉が行ってしまうと杏梨はもう一度眠ることにした。



ほとんど眠っていないせいで頭がぼうっとしてしまう。



ベッドに入り目を閉じるとあっという間に眠りに就いた。



< 472 / 613 >

この作品をシェア

pagetop