Love Step
「本当に大丈夫かい?」



写真を見るという杏梨に雪哉は気遣わしげな表情を浮かべる。



「雪哉、過保護すぎるぞ?杏梨ちゃんは18才なんだろう?もう自分で判断がつく年だ」



「ヒロは昔の杏梨を知らないからそう言えるんだ」



ムッとしたような雪哉を見て杏梨は驚いた。



「ゆきちゃん!わたし、大丈夫だよ 大丈夫 見れる」


2人の雰囲気が悪くなりそうな気配に急いで言った。



「……わかった」



雪哉は頷いた。



志岐島はジャケットの胸ポケットから茶封筒を取り出した。



そして中から写真を出し、杏梨の目の前にスッと置いた。



若い男の写真だ。



隠し撮りの写真なので正面写真ではないが、顔ははっきり映っている。



「あっ!」



杏梨はその写真を見て思わず声をあげた。



「見覚えがあるのかい?」



「この人がわたしにぶつかったの」



ぶつかる前に目と目が合った。



鷲鼻の男は記憶にある顔だった。



「やっぱり黒田 琴美が彼氏に頼んだんだな」



志岐島と雪哉は確信した。



そうだったんだ……。


琴美さんがこの人に。



頭がくしゃっと触れられる。



「ゆきちゃん……」



「ありがとう もういいよ」



にっこり微笑みかけられ杏梨はこくっと頷いた。



今後の事は杏梨がいない場所で話した方が良いと考えた雪哉は話を変えた。




< 480 / 613 >

この作品をシェア

pagetop