Love Step
人の波で立ち止る事もできずに3人は歩いた。



「どこへ行っちゃったんだろう」



香澄が心配そうだ。



「大丈夫、杏梨は小さな子供じゃないよ? 駅に向かっているんだから向こうで会えるよ」




「雪哉さん……」




「そうだよ 駅に着いたら電話をすればいい」



遼平はそう言って香澄の手を取った。



その頃、あの男に似ている男性を追いかけた杏梨は3人から離れてしまった事に気づいた。



「はぐれちゃった……」



心配しているよね。



今は立ち止る事が出来ずに人の波に押されて歩くだけだ。



あの男だったのかな……。


派手な女の子と腕を組んでいた。


琴美さんの彼だったら別の女の子といるはずがないよね?



やっぱり違うんだと心の中で思う。



駅に近づくにつれて人もぶつからない程度に歩けるようになった。



~~~~♪



バッグの中の携帯電話が鳴った。



ゆきちゃんだ。



ごそごそとバッグの中に手を入れて携帯電話を探して取り出す。



その間、切れることなくずっと鳴り続いていた。



「も、もしもし?」



『杏梨 どこにいる?』



心配そうな声が聞こえてきた。



< 493 / 613 >

この作品をシェア

pagetop