Love Step
ぎくしゃく
頬に何かが触れる感覚に杏梨は身じろぎした。
「ふ……ぅ……ん」
考えすぎて明け方まで起きていた杏梨は眠くて目が開かない。
「杏梨、」
ゆきちゃん……!
雪哉の声にハッとして目を開けた。
「おはよう」
「ぉ……は……」
「仕事に行って来るよ 帰ったら話し合おう」
まだぼんやりした瞳がその言葉に力を帯びた。
そうだ!昨日、一方的に言っちゃったんだ……。
「行って来るよ」
雪哉は立ち上がると部屋を出て行った。
バカ杏梨っ!何も言えないまま行っちゃったじゃないっ!
情けなくなって枕に顔を埋めた杏梨だった。
* * * * * *
8月31日 学生は夏休みの最終日。
ふと琴美は杏梨の事を思いだした。
あの子も明日から学校なのね。
「あの、」
駅の改札を出ると女性に背後から声をかけられた。
「え?」
「伝線してますよ?」
それだけ言うと女性は行ってしまった。
琴美は振り返りふくらはぎを見る。
一直線にストッキングが伝線していた。
暑いんだから履いて来なければ良かった。
「ふ……ぅ……ん」
考えすぎて明け方まで起きていた杏梨は眠くて目が開かない。
「杏梨、」
ゆきちゃん……!
雪哉の声にハッとして目を開けた。
「おはよう」
「ぉ……は……」
「仕事に行って来るよ 帰ったら話し合おう」
まだぼんやりした瞳がその言葉に力を帯びた。
そうだ!昨日、一方的に言っちゃったんだ……。
「行って来るよ」
雪哉は立ち上がると部屋を出て行った。
バカ杏梨っ!何も言えないまま行っちゃったじゃないっ!
情けなくなって枕に顔を埋めた杏梨だった。
* * * * * *
8月31日 学生は夏休みの最終日。
ふと琴美は杏梨の事を思いだした。
あの子も明日から学校なのね。
「あの、」
駅の改札を出ると女性に背後から声をかけられた。
「え?」
「伝線してますよ?」
それだけ言うと女性は行ってしまった。
琴美は振り返りふくらはぎを見る。
一直線にストッキングが伝線していた。
暑いんだから履いて来なければ良かった。