Love Step
無事に那覇空港に足を着けた杏梨は大きく息を吐いた。



そんな杏梨を見て雪哉が笑いながら肩をすくめた。



「この様子ではアメリカに行かなくて良かったかもしれないな」



「そうみたい、なんだかどっと疲れちゃった……」



「このままホテルへ行く?」



レンタカーの鍵をちゃらちゃらさせて聞く。



「だっ、だめっ!行きたい所いっぱいあるんだもん!」



胸にガイドブックを抱きかかえ、大きくかぶりを振る。



機内で気を紛らす為に行きたい所を探してみると、2日間ではとても回りきれないくらいくらいにある。



「ははっ、じゃあ行こうか」



雪哉としてはホテルでのんびりするのも魅力的だったのだが。




* * * * * *



真っ白なオープンカーに乗り、空港から近い首里城を目指す。



車から降りて首里城を目指すと、修学旅行の高校生たちがぞろぞろと歩いている。



「あ……そう言えば、高校2年の時の修学旅行は沖縄だったはず」



トラウマのせいで修学旅行には参加できなかった。



「杏梨の高校は沖縄だったのか」



楽しそうに歩いている高校生を見ている杏梨が寂しそうに見えた。



行けなかった事を悔やんでいるのだろう。



「ゆきちゃんはどこへ行ったの?」



「ロンドンとパリ」



「あ!そうだったねっ!お家にあるエッフェル塔の置物、ゆきちゃんが買ってきてくれたんだったよね」



今はダンボールの中だが。



「あれは小さい子にあげるお土産じゃなかったな 喜ばせるお土産なんて分からなかったからね まだ持っていてくれているんだ」



「うん ダンボールの箱の中だけどねっ でもすごいね?海外だなんて」



「姉妹校がイギリスにあったんだよ すごく寒くて面白かった記憶はないな」



かれこれ11年前になる記憶だが、あまり記憶はない。






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