Love Step
「ベランダに出てみる?」



「いいの?」



「もちろん」



雪哉が窓の鍵を開けて開くと2人はベランダに出た。



「う~ん♪気持ち良いね~」



柵に手を付いて乗り出して見てから後ろにいる雪哉に振り返る。



「お仕事忙しいのに連れて来てくれてありがとう♪」



「お礼は言葉だけ?」



「え?っと……」



戸惑っていると抱きしめられて唇が重なった。



唇に触れるキスでは雪哉は物足りなくて、ふっくらとした柔らかい下唇に軽く歯を立てて口を開かせた。



「んっ……」



舌を絡ませると甘い吐息が漏れる。



この場で奪うつもりはないからほどほどにしておかなければ。



唇を離すと杏梨の身体が支えを失ったかのようにガクッと揺れた。



雪哉の腕に支えてもらわなければペタンと座り込んでしまっただろう。



「大丈夫?」



「う、うん びっくりした」



身体の芯が熱い。



胸の頂も今のキスで張り詰めて痛いくらいだ。



雪哉はふっと笑って杏梨を抱き上げ室内へ戻った。



イスに座らせて冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを持って戻る。



蓋を開けて杏梨に差し出す。



「ありがと」



一口飲んで呼吸を整える。




もう……あんなキスされたら戸惑っちゃうよ……。



「夕食はホテルのレストランへ行こうか それともルームサービスにする?」



机に置かれた館内案内を見ていた雪哉が尋ねる。



「レ、レストランでっ」



ずっとこの部屋にいたら心臓がもたないよ。


今日はゆきちゃんの顔を見るとドキドキしちゃうんだもん。


いつも一緒にいるのにおかしいよね?



< 533 / 613 >

この作品をシェア

pagetop