Love Step
今日も改札を入ったところで香澄と別れた杏梨は電車に乗った。



ガラガラとまではいかないけれど、席が空いていて座った杏梨は何気なく中吊り広告へ視線が行った。



【カリスマ美容師の女性遍歴 有名女優が激白】


カリスマ美容師……?



中吊り広告には写真が載っていなかった。



有名女優が気になる。



まさか、美咲さんのことじゃないよね?そうだったらカリスマ美容師ってゆきちゃんになっちゃうもん。



考えていると駅に着いていて慌てて電車から降りた。



すごく気になる……。



~~~~~♪



ポケットの中の携帯電話が鳴った。



ゆきちゃんだ。



こんな時間に電話をくれるのは珍しい。



「もしもし?」



『杏梨、何か変わった事はない?』



少し焦ったような珍しい声。



「うん 何もないよ……?」



『今どこにいる?』



「駅に着いたとこだけど……?」



どうしたんだろう……?



『わかった 家に着いたら電話が鳴っても出ちゃダメだよ?誰か来ても通してはダメだからね?』



「何でそんな事いうの? !!!」



杏梨は息を飲んだ。



「もしかして!ゆきちゃんの事なのっ?週刊誌の記事っ!?」



『見たの?』



「な、中吊り広告に……」



『帰ったら説明するよ』



そう言って電話が切れた。



ゆきちゃん……。




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