Love Step
「ありがとうございました」



モデル風の女の子のネイルを仕上げて、琴美は受付まで送り出した。



施術を待つソファーに座る女性がいつもより多い事に気づく。



ゴシップで売り上げが落ちるどころかますます忙しくなっているじゃないの。



琴美は待っている客に誰ともなく会釈しながらサロンへ戻った。



目の奥に痛みを感じて両方のこめかみに指を置きマッサージする。



あきらが毎日のようにアパートに帰ってくるのだ。



仕事に出かけずに部屋でだらだらと過ごしている。



二股をかけていた彼女とは別れたのか?



最近はどうでも良いのだが、自分に手を出そうともしない。



早く出て行ってくれれば良いのに。



そんな事を考えたその日、あきらから驚くような言葉を聞いた。



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