Love Step
放課後、杏梨は急いで下駄箱に向かった。



文化祭の手伝いを少し手伝うつもりが、1時間も手伝ってしまい待ち合わせの時間まであと15分もない。



学校から駅に行き、電車に乗ると25分はかかる。



10分の遅刻だけど……大丈夫だよね。



駅に向かいながら携帯電話をカバンから出して琴美に遅れるメールを打つ。




琴美は10分早く渋谷駅に来ていた。



バッグの中の携帯電話が振動した。



10分遅れるのね……。



琴美はまだ杏梨に会うべきか迷っていた。



あきらがあきらめてくれると良いのだけど。



メールどおり、10分遅れて杏梨が姿を見せた。



「こんにちは 遅くなってごめんなさい」



琴美の前に立った杏梨はペコッと頭を下げた。



「いいえ いいのよ 私の方こそ忙しいのに呼び出したりしてごめんなさいね」



柔らかく微笑まれて杏梨はホッとした。



「じゃあ、行きましょうか」



「えっと、どこへ?」



「静かに話したいから……人に聞かせる話じゃないし、個室が良いわね」



琴美が首を傾げて杏梨を見る。



「個室ですか……?じゃあ、カラオケ店は……」



個室といわれたらカラオケ店しか思い浮かばない。



「そうね!そこにしましょう」



2人は駅から10分ほど歩いてカラオケ店に着いた。



< 566 / 613 >

この作品をシェア

pagetop