Love Step
歩いている間は2人とも話をしなかった。



半歩遅れて杏梨が着いて行く形だ。



「カラオケはよく来るの?」



店員に案内されて部屋に入った琴美は聞く。



「いいえ、来ないです」



男性恐怖症だった杏梨は外に出て遊ぶ事はなかった。



その原因の姉が目の前にいる。



思い出して杏梨は無意識に身を硬くした。



「座って?何か飲みましょう」



テーブルの上の飲食メニューを開いて見せる。



「杏梨ちゃん、何が良いかしら?」



「コカコーラを」



「私はアイスコーヒーにするわ」



琴美は席を立つと壁に設置されている電話に手を伸ばした。


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