Love Step
杏梨はさーっと血の気がなくなる感覚に襲われた。



「琴美さんっ!どうして?」



杏梨は震えてくる手をギュッと握ると、琴美に言った。



どうして階段から突き落とした張本人に会わせるのだろうか?



「まあ、座ってよ」



琴美は杏梨から視線をそらし、代わりにあきらが座るように言う。



杏梨は大きくかぶりを振る。



「い、いいえ わたし、失礼します!」



ドアの所に立っているあきらの横を通ってノブに手をかけた。



「ちょっと待ってよ~ そんな逃げなくてもいいじゃん」



ノブに手をかけた杏梨の手首をあきらは握った。



「っ!」



手首を強い力で掴まれて杏梨の顔が痛みに歪む。



「ほら、席に座りなよ」



あきらは少し乱暴に杏梨をソファーに座らせた。



座らせるというより放り投げられたと言った方があっているかもしれない。



「きゃっ!」



肩をソファーの背にぶつけ思わず声が出てしまう。



「あきら!乱暴にしないで!」



琴美は驚いてあきらに強く言った。



杏梨を見るとブルブル震えていた。




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