Love Step
「行かないで、行かないでください」



震える声で琴美に懇願した。



置いていかれたら正気ではいられない。



「あきら、話だけの約束よ 彼女を怖がらせないで」



杏梨が可愛そうになりもう一度言うと、あきらがニヤッと笑い立ち上がった。



「うるせえんだよ!勝手に怖がってんだよ!子猫チャンは!」



あきらは琴美に向かって手を振り上げた。



バシッ!!!



「きゃーっ!琴美さんっ!」



あきらが琴美の頬を平手打ちしたのだ。



叩かれた琴美はテーブルにぶつかり、アイスコーヒーの入ったグラスが床に落ちて大きな音をたてて割れた。



琴美は叩かれた頬を手で押さえた。




「あきらっ!」




あきらを見る目に怒りが見えた。




「なんだよ!その目は!早く行けよ!お前は用済みなんだよ!」



行かないで、琴美さんっ!



杏梨は心の中で叫んだ。


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