Love Step
* * * * *


「本当に行くのか?」


翌日の朝、相変わらずだぼっとしたトレーナーにジーンズを履いている杏梨に雪哉は聞いた。


だいぶ痛みが和らいできた杏梨はにこっと笑って頷く。


「もうなんともないし、大丈夫だよ?」


なんともないと言うのは嘘だが、擦りむいた箇所が痛む以外は大丈夫だ。


大丈夫といっても雪哉の心配そうな表情は変わらない。


「ゆきちゃん、過保護もいい所だよ?」


杏梨は怒った振りをして頬を膨らませる。


「……わかったよ 送迎はお任せ下さい お姫様」


杏梨の胸を高鳴らせるには十分な笑顔で雪哉は言ったのだった。



* * * * * *



「香澄ちゃん 教えて欲しいの」


放課後、杏梨は帰ろうとしていた香澄の腕を捕まえて言った。


「あたしに教えて欲しい事?」


何の用なのだろうときょとんとした顔だ。


「うん ねえ、香澄ちゃん パーマってどうすればいいの?」


真剣な顔をして聞く杏梨に香澄はポカンと口を開けた。


「パーマ?って髪の毛の?」


「そうだよ?パーマって他にも何かあるの?」


「だって……杏梨……」


今までおしゃれに関してまったく興味がなかったのに。



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