Love Step
「どうしよう……ゆきちゃん」


物思いにふけっていると小さな声が聞こえてきた。


「俺に任せてくれる?」



そう言うと涙に濡れた顔をあげて大きな目で俺を見た。



* * * * * *



店に向かう車の中でどんな髪型にしたかったのか雪哉は聞いた。


泣き止んでいても不安そうで助手席に小さくうずくまるように座っている。



「お、女らしい髪型……」



うつむいたまま恥ずかしそうだ。


女らしい髪型?


雪哉は驚いた。


どんな心境の変化で女らしい髪型にしたくなったのか知りたくなる。


今までの杏梨は女らしい髪型自体に嫌悪感を感じていたから。


「何かあったのかい?」


「……何もない」


何もないのに急に髪型を変えたいなんておかしいだろう?


そう思ったが言葉にはしなかった。


杏梨に好きな男でも出来たのか?


ふと頭に浮かんだ。


女の子が髪型を変えるのは恋に繋がっている。




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