Love Step
ベッドの端に座っていたゆずるはいきなり泣き出してしまった杏梨を抱き寄せた。


「落ち着いて 雪哉は心配しているだけよ だから私を呼んだの」


泣きじゃくる杏梨を落ち着かせようとした。


杏梨の変身のいきさつはさっき雪哉に聞いた。


もともと可愛い杏梨ちゃんは雪哉の手によってもっと可愛くなったわね。


「そんなに泣くと身体に悪いわ」


ハンカチを出して杏梨の頬にあてる。


「せっかく連れて行ってもらったのに……」


そう思うと止まりかけていた涙が再び流れ始めた。


「杏梨ちゃん……雪哉と話をする?」


杏梨は大きくかぶりを振った。


せっかくトラウマが治ってきたと思っていたのに落ち込む。


「杏梨ちゃんの好きなケーキを買ってきたの 陸連れて来ているの 一緒に食べましょう」


「……」


「杏梨ちゃん?」


ゆずるはそっと杏梨の肩に手を置いた。


「……はい」


杏梨はベッドから抜け出し立ち上がった。




リビングに行くとソファーに座った雪哉が陸を抱いていた。


杏梨の顔を見てホッとした顔になる。


「杏梨」


「ゆきちゃん、今日はごめんなさい」


雪哉の目の前に立つと苦しそうな顔で言う。


「俺の方こそごめんな 杏梨が可愛くてつい調子に乗ってしまったんだ」


「わたしが可愛い?」


「もちろんだよ」


そこへキッチンから出てきたゆずるがケーキと紅茶をテーブルに置く。


「はい 杏梨ちゃん 座って」


にっこり微笑んで杏梨に言うと雪哉に向き直る。


「雪哉、ちょっと来て」


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