Love Step
* * * * * *


ぼんやりしていた杏梨はふと我に返って時計を見た。


もう12時過ぎてる……。

やっぱり遅くなるんだ……。



杏梨は雪哉を待つことをあきらめて自分の部屋へ行った。




「……眠れない」


ベッドに横になってもなかなか眠りは訪れてこなかった。


ごろごろ寝返りを打ったり、羊を数えてみたけど眠れない。


羊を数えていると更に頭が冴えてきてしまうのだ。


「ホットミルク飲もう」


今は梅雨の時期で冬のように寒い時期ではないのに手足が冷たい。


深夜3時。


時計を見て驚いた。


こんなに時間が経っていたんだ……。

だけどまだゆきちゃんは帰ってこない。


キッチンでマグカップに牛乳を入れて電子レンジをスタートさせる。


チーン♪


カップの中の牛乳が温まって電子レンジから取り出すと両手でマグカップを囲む。


マグカップを口に運ぼうとした時……。


「杏梨?こんな時間に何をしているんだ?」


突然の雪哉の声に杏梨は飛び上がらんばかりに驚いた。


いや、実際に飛び上がっていた。


その拍子に持っていたマグカップは手から離れ床に落ちた。


「きゃっ!」


熱いミルクは床で跳ねて杏梨のスウェットにかかった。


「あつ!」


「杏梨!」


雪哉は床に広がるミルクを避けて杏梨を横抱きに抱くと浴室へ急いだ。


シャワーの下に座らされると冷たい水がスウェットを通してかけられた。


そして少ししてから慎重にスウェットをめくり上げる。


「痛むか?」


「だい……じょうぶ」


足の痛みよりもさっき抱き上げられた時にふわっと香ったエキゾチックな香りに杏梨は動揺していた。




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