Love Step
キッチンへ行くとまだ寝ていると思っていたゆきちゃんがいた。


「おはよう 杏梨」


「お、おはよう……」


雪哉はぼうっと突っ立っている杏梨に座るように言う。


テーブルの上にはハムエッグとグリーンサラダのお皿が置いてあった。


「どうして?ゆきちゃん 寝ていないでしょう?」


「送っていくよ」


カフェオレの入ったマグカップを杏梨の目の前に置くと言う。


「いいよ、仕事まで寝ててよ」


なんとなく言葉がつっけんどんになってしまう。


「足、大丈夫だったか?」


「大丈夫だよ 大げさだったみたい」


すぐに冷やしたおかげで水ぶくれはまぬがれた。



* * * * * *



学校まで行く間、きまずい雰囲気だった。


ゆきちゃんの顔がまともに見れないよ……。


「杏梨、何かあったのか?」


「えっ!?」


「ほとんど寝ていないだろう?」


「……」


「俺と暮らすのが嫌になった?」


突然の言葉に杏梨はビックリして雪哉を見た。


「なんでそんな事言うの?」


どこからそんな事を思いつくのか不思議だった。


「いや……杏梨の様子を見ていると……」


雪哉は自信を無くしそうだった。


「ゆきちゃんの方こそ後悔しているんじゃないの?」


そうだよ、彼女も家に連れてこられないし。

わたしの世話も大変だし。


「何言ってんの?」


「わたしがこんなんだから……わたしが一緒に住んでいるせいで彼女連れて来れないし、でもっ!彼女の事はわたしに分からないように付き合って欲しかった」


我侭を言っているのは頭では分かっているのに口は止まらない。


心に留めておいたのに言ってしまっていた。


「杏梨、何を言っているんだ?」


雪哉には杏梨の言っている事が理解できなかった。


「わからない振りなんかしないでっ!」


杏梨はそう言うとそっぽを向いた。


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