お隣りは先生!?
「ほら。お疲れ様。」

スポーツドリンクを手渡す。

「あ......ありがとうございます。」

俺は、七瀬の隣に腰を降ろした。

「七瀬。上手くなってきてるよな。」

俺がそう言うと、七瀬は無邪気に笑って

「本当ですか?」

と聞いてきた。

「最初がダメダメだったしな。」

俺がちょっと笑って言うと、七瀬は苦笑した。


練習を始めたばかりの頃の七瀬は、俺の足は踏むわ転ぶはで大変だった。

でも今は、タイムは遅いけど、最後まで走りきる事が出来る。

七瀬にしてはよく出来てると俺は思った。

「さぁ。練習を再開するぞ。」

「えっ?もう!?」
......結構休憩とったと思うけど?

俺は七瀬の手を掴み立たせて、足を紐で縛って、肩を抱きよせた。

ドキン......
不意に心臓の音が速くなる。
落ち着くんだ......俺。

「じゃあ、始めるぞ?よーい......ドン。」

ダダダダダダっ......

七瀬が全速力で走る。

俺は何とかついていく。

「七瀬!?」

......返事がない。
そしてそのままゴールをした。
タイムは今までより一番速かった。

七瀬を見ると、ほんのり顔が赤くなっている。

全速力で走ったからだろう。
でも、俺は都合の良い事を考えてしまう。
少しは、俺の事を意識してくれているんじゃないかって......



七瀬......
頼むから、これ以上俺にお前が好きかも知れないって、気付かせないでくれよ。
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