実話~運命~
ステージ8 昼の仕事
わたしの心の傷っていうのは店を辞めたってだけで治るような軽いもんやなかった。

騙されてたってこともある。

そしてただ汚れていったことだって。

書けないようなひどいことはわんさかある。


辞めてからは”睡眠薬、ほんとにたくさん飲んだら死ぬんやろか?”とかいう考えだった。

今更、綺麗に人生を歩くなんてわたしには出来んって思ってた。


だから薬を飲んだりした。

でも死ねなかった。

頭が痛いってのが続いただけ。



わたしにはまだ太陽の光なんてあたってなかった。

なにか黒いものが覆い被さってた。


みんなは学校行ってまともな道歩いとる。

何やってたんやろ、今まで。



悔しくて涙が止まらなかった。

それを志穂に電話でぶちまけた。

志穂は黙って聞いてくれた。

そして死ぬことを考えたって言ったとき志穂は


「またそんなことするとき、わたしの顔思い浮かべてくれる?これだけはお願いするわ。」

と冷たく言った。


そしてまた死にたいという観念に襲われ、手首を切ろうとした。

でも志穂の顔なんて思い浮かべたら出来るわけがなかった。


「出来ひんかったわ。」

そう言うと志穂は泣き崩れて言った。


「里美…しっかりしてや…。わたしの知っとる里美はこんなんやない。」

って。



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