実話~運命~
そしてわたしたちはビショ濡れだったから渋々猛と志穂が近くに着替えを買いに行ってくれた。


「後先考えてやり!!」

と怒りながら。


わたしたちはビショ濡れで浜風に吹かれ、


「さ、さみぃ…。」


と言って凍えていた。

髪は潮のせいでパリパリになってた。


「ウィル、風邪引いたらあんた覚悟しときーよ。」

「俺も風邪引いたら絶対里美を恨むで…。」

「なんでわたしが恨まれなあかんねん!!あんたのせいやろ!!」

「俺を沈めたのは里美やろ。」

「最初から濡れとったくせに。」



久々に口ゲンカをした。

だいたいわたしはこんなに声を出して喋るのは久々かもしれないと思った。


「里美、ほんま俺、お前には悪いことしたって思っとる…。」

このタイミングで言うか?

そう思ったけどそれを否定する言葉しか出てこなかった。

「もうええって。わたしあんたにされたこと、もう何も思ってへん。楽しいことしか記憶にないねん。こうやってまた笑って話せるってだけで幸せやって思う。こうやって自分の好きなこと出来てるのって幸せやって思う。」


ヤスさんの言葉やん。

それが出てくる自分が情けない。

でも、ほんまに今はそう思ったから。

わたしはそう言ってわたしは立ち上がった。


「絶対勝ち組になったるでー!!!!!!」


海に向かって叫んだ。


「勝ち組、まだ遅くはないよな??」


そう言うとウィルはプッと笑って


「里美、変わってへん。遅いって言いたいけど遅くないって言うとくわ。」


そう言うウィルを蹴飛ばした。
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